| 近頃、テレビや健康系情報誌でも取り上げられている治療法なのでご存じの方も多いと思います。私自身も大学病院で治療をしていた時から歯の神経は出来る限り残したいとの思いから利用していましたし、現在も状況に応じて3mixなどを使い分けて使用しております。 |
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| お口の中には様々な細菌が存在し、空気が無いと生きられない（好気性細菌）と空気が無い
ところで生きる（嫌気性細菌）またそれぞれの中間の細菌の種類が有ります。それらの細菌の中で虫歯などの害を及ぼす細菌（嫌気性細菌が多い）に対して効果
を発揮するのが3mix、薬の浸透や効能を保たせる為に溶かす材料がMPです。 |
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| やっぱり、虫歯は治るんだと思った貴方。ちょっと待ってください。確かに虫歯をおこす細菌は死にます。でもそれだけでは虫歯が治ったとは言えないんです。 |
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| 虫歯は段階によりCO〜C4とその進行度合いが分かれており、また歯（象牙質）まで進ん
だ虫歯の中身は何層（虫歯表層、多菌層、寡菌層、混濁層、透明層、生活反応層）にも分かれています。その層の中で、今までの術式では除去していた層を残し
その上に3mixを敷き、その上に蓋をします。 |
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| 虫歯の無菌化が達成されると歯の神経が有る所には一緒に血管が通っていて、その血液に乗って免疫応答物質が感染により脱灰した歯（象牙質）を再石灰化させたり、新たな歯（象牙質）に置き換えたりして治癒に至ると言われています。 |
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| ほら、やっぱり深い虫歯でも歯の神経を取らずに治せるんじゃない！と思われた方、もう少し待ってください。 |
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| 巷では、再石灰化！再石灰化！！と良く言われていますが、実際の歯はそんなに見る見る再
石灰化は起こりません。そして、歯の再石灰化は条件によって様相が変わるのです。つまり、虫歯で柔らかくなったところが再石灰化するのは非常に条件が限定
され、再石灰化されるにしても超長期を要すると思われると言うことです。むしろ歯（2次象牙質）の形成と言う形での起こりやすいと言えます。 |
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それが、虫歯が治ることに何の関係が有るのかと申しますと、例え虫歯一本であったとしても、治した後で長期的に歯としての機能を損なわずに保つ事が重要なのはおわかり頂けると思い
ます。 |
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| その為の重要な要素として確実な接着技法が出来る事が上げられますが、歯をエナメル質と
象牙質に分けて考えるとエナメル質に比べ象牙質の詰め物に対する接着力が弱い事が知られています。更に健全で無い象牙質では健全な象牙質に比べてより接着
力が弱い事も知られています。その状況下でも確実な接着操作が出来ることが歯科医師には求められているのです。 |
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| しかし、“あ〜又、虫歯になった〜！”という場合、“虫歯になったのは貴方のお手入れが
いけなかったんです”と多くの患者さんは歯医者さんから説明を受けると思います。（確かに長期に機能させるためにお手入れも重要な要素の一つです。）接着
歯科学をしっかりと認識されている先生方の中には3mixを使っても使わなくても予後は変わらないとおっしゃる先生も多いです。 |
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| なぜならそれは虫歯を詰める際、可及的に虫歯を取り除き、しっかりとした接着技法で詰め物を行えば、上で説明した時同様に歯の血流からの免疫応答により、残存した細菌や細菌が出した後の毒素は退治してくれるとの見解になっているからです。 |
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| つまり治療後の予後を左右するのは再感染を防ぐ為の詰め物の確実な接着は出来ているか、虫歯の歯に免疫応答を担うだけの十分な血流量が存在するかの方であると言う事です。 |
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しかし、このことはたとえ3mixを使ったとしても重要な概念で、それ以外の重要な要素も含める
と、 |
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1．細菌に感染した歯（象牙質）を何処まで取り除くか（微生物学）
2．正しい3mixの知識を持ってその薬を使用しているか（薬理学）
3．虫歯となった歯に充分な免疫応答能力はあるか（生理学）
4．正しい材料学的知識をもって接着操作や詰め物を行っているか（材料学）
5．機能させる為の咬む力のコントロールや繰り返し荷重による経年変化をどうとらえているか（補綴学）
6．総合的な虫歯の予防やメンテナンスを歯科医師や患者さんがしっかりと実践しているか（口腔衛生学） |
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| の全てが個々の患者さんに合わせ整って初めて成功（＝長期的安定的に機能する）したと言えるわけです。 |
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| 1〜6に上げた3mix以外の要素をクリアしても治しきれなかった虫歯に対して3mix
は非常に効果の高い薬剤で有ると思います。逆に必要な要素もクリアせずに処置されている虫歯では3mixの効果はさほど期待出来るとは思いません。しか
し、それがクリアされていない状況の虫歯処置の方が歯科医師として多い様に感じます。だからこそ3mixの１アイテムにこだわるのではなく、トータルパッ
ケージで確実な治療法を行う必要があると言う事を皆さんはご理解下さい。 |
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| 最後まで読んで頂いた方、有難う御座いました。 |
